universe production主催 
 オーディション企画

前日譚

『 えーと。
  何から話すんだったかしら。』

おちゃらけたように笑う 。緊張をほぐしてやるため ? 
ううん 。そんなんじゃない 。
本当に忘れてしまっていたの 。
「 原稿 。あるだろ 。」
小声で肩を小突く弟の様子にへらへらと謝ってみせては 、一同にまたしても向き合った 。
『 1次選考の仕組みについて 。そうだねぇ 。もう始まってる ... って言っても良いかな 。』
意味ありげに頬に手を当てて目を細めた 。この仕草を弟が嫌うことをあたしは良く知ってる 。何故かって ? 
「 はぁ ... 変わって日比谷 織が説明する 。」
こういうこと 。あんたに任せるって合図だからね 。
「 君たち12人には今日からこの建物 “ アサギ ” で共同生活を初めてもらう 。それにあたって先程伝えた4チームでの行動が基本となる 。」
ここで1つ 。大きく深呼吸 。
「 1次選考は4チームごとで協力ができるか 。という観点で採点させてもらう 。」
それだけじゃあないんだけれど 。
『 共同作品を作れだとか 、無理に仲良しこよししろだなんてことじゃあないんだよ ? 各々の練習課題を各チーム内で指摘しあって欲しい 。ただそれだけ 。』
まぁまぁ 。落ち着きなよ 。織もみんなも 。織の表情は分かりやすいんだ 。割り込んで来るなとでも言いたいのだろうね 。
「 ... そういうこと 。期限は2週間 。その間は俺ら2人できみたちを採点させてもらう 。あくまでもチームでの対抗だ 。それに則って行動して欲しい 。」
はい 、終わり 。良くできました 。そんな視線だけの会話を交わして 、彼は半歩後ろに下がった 。